ただでは死なん。

こんなタイトルですが社会に恨みはありません。

乱立するスマホ決済手段(非接触型決済・QR決済)のメリット・デメリットを独断と偏見でまとめてみた

2019年は各社~20%クラスの大盤振る舞いの還元合戦に加え、政府のキャッシュレス還元事業と来て、2019年はスマホ決済の普及が大幅に進んだ年といえる。 

しかしながら「●●Pay」始め様々な決済手段が乱立してしまい、還元合戦に踊らされ混乱してしまった人は少なくないのではなかろうか。

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筆者の利用している電子マネー



 本記事では筆者がこの2年ほどで使い倒した各決済手段についてメリット・デメリットを解説する。 

 

「どういう使い方が楽で得なんだよ!」という方はこちらの記事を参考にしてほしい。   

ytk64.hatenablog.jp

 

 

 

1.非接触決済編

Google Pay、Apple Pay、おサイフケータイ

乱立するスマホ決済をまとめてくれる優れモノ

電子マネーの残高管理も行える

基本的にクレジットカード・プリペイドカード・電子マネーを紐付けて使用する。

カードによってQUICPay、iD、VISA タッチ決済(これはGooglePay限定?)が使用可能になる。

 なお、決済時に「Google Pay(Apple Pay)で」と申告すれば、優先順位の高い決済方法とPontaカードなどの登録済みのポイントカードも同時に使用できるという画期的な仕様もある。が、そもそも「スマホ決済はいくつか導入してはいるがGoogle Pay(Apple Pay)での決済は対応していない」という店がほとんどなので、この方法もイマイチ浸透していない… 

 

 

QUICPayQUICPay+

JCB発の非接触型決済。クレジットカードに紐付けることができ、チャージが不要で決済スピードも速くかなり便利。

JCBの20%還元キャンペーンで使い始めた人も多いのではないだろうか。

無印(プラスなし)と+(プラス)との違いは決済上限金額。

無印は上限が2万円。プラスは上限なし(紐付けしたカードの限度額)。ただしプラスでもGooglePay利用の場合は上限が3万円までに制限される。地味にややこしいがあまり気にする必要はないだろう。

 

 

iD

Docomo発の非接触型決済。dカードと相性が良い。docomoユーザーは還元なども受けやすくおすすめ。

筆者は三井住友VISAカードと紐付けているが、docomoユーザーではないためキャンペーン等も縁がなく、紐付けたカードの還元率も特別高くないので使用頻度は低い。

使い勝手の良さはQUICPayと同等だと思うので使い分けするのが良いだろう。

また、Edyと聞き間違えられやすい。「ア↓イ↑ディーで」とはっきり述べつつ画面をチラ見せすることで回避可能(ちょっと恥ずかしい) 

 

 

 モバイルSuica

プリペイドタイプの電子マネー。超満員・超混雑のJRでの改札で物ともしない安定性と決済スピードが売り。

また、Suica定期券をスマホで買えてしまうのも大きな魅力。

プリペイドタイプのためチャージが必要。チャージはアプリから手軽に行える為そこまで不便には感じない。クレカによってはオートチャージもできる。

ただ上限が2万円と非常に低い。また、鉄道以外での利用履歴が「物販」としか記載されないのが家計簿アプリでの管理が難しくしており非常に不便。 

筆者が東京で暮らしていた頃は、定期券をその場で買えることもあってとても愛用していたが、東京を離れてからは使用頻度がかなり低くなった。

使用機会は通勤定期圏外の日常での鉄道利用や駅構内での自販機利用のみ。 

 

 

Edy

こちらもプリペイドタイプの電子マネー電子マネー界の古株で、地味に使用可能な店舗が多い。

キャッシュレス決済を古くから活用している人には愛用者も多いのではないか。

iDと聞き間違えられる問題は「『楽天Edyで」と言うことで回避可能。

 

 

nanaco

プリペイドタイプの電子マネーセブンイレブンで使用。公共料金の支払いに使える。

還元率の高いリクルートカードでチャージするとお得。また、セブンのマルチコピー機を使う際に現金が不要なのも地味に楽。

なお、都度チャージが必要にもかかわらずチャージは1,000円単位で、更には2019年9月から一日一回(厳密には24時間に一回)までと大きな制限が加えられ使い勝手が悪くなった。

また使用明細も何に使ったか不明瞭で、家計簿アプリとの相性も良くない。

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Androidnanacoモバイルの利用履歴。出入りと使用日時以外何も分からない

7payでの失態もあり、セブンイレブン電子マネー競争は敗色濃厚か。 

 

 

VISAのタッチ決済 (旧 VISA payWave)

とにかく色々な需要がぶつかり合った結果微妙な出来になってしまった決済手段。申し訳ないが、ほとんど利用していない。

正直なところ、わざわざ財布からカードを取り出して端末にタッチするという一連の作業に大きな疑問を抱かずにはいられない。「それ普通にカード使えばよくね?」「スマホの非接触決済の方が速くね?」といった疑問が拭えず、使用するに至らなかった。

ちなみにGooglePayで一部のVISAカードVISAのタッチ決済に対応しているのでスマホ決済も実現可能。しかしながら対応カード・店舗共に少なく、「VISAじゃなくてもQUICPay or iDで良くね?」というのが現実。

 また、支払額が10,000円を超えると暗証番号入力or署名が必要になる。タッチでスマートに会計を済ませたつもりが追加で署名まで求められる姿はシュール過ぎるのではないか。

 強みを挙げるならば強固なセキュリティと、間に他社の決済手段を挟まなくて良いという所か。店員にカードを渡さなくて良いという点も挙げられるが、タッチの際に券面を晒す以上「直接盗み見られる」リスクはあるので根本的解決にはならない。財布を直接かざすという方法もあるが、それはもうスマホで良いのでは?と思ってしまう。 

ちなみに「カードを直接端末にタッチする」機能はAMERICAN EXPRESSのカードにも備わっている。一見非効率に見える一連の作業も、背景には「ハイステータスなカードを見せたい」という儀礼的な需要があるのだろう(推測です)。こういう意味では他にはないメリットと言える。

またVISAは世界的規模の会社なので、海外での普及率を考えると持っておいて損はない。旧VISA payWave対応カードでも国内で使える。そして海外ではVISA payWaveが普及している。細かい話をすると、VISA payWaveは日本国内ではサービス終了したが、国内限定で「VISA タッチ決済」として名前を変えて生まれ変わった、という認識で良いかもしれない。正直めちゃくちゃややこしい。

国内では店員さんも理解していないパターンが多いので使わない方が良いかもしれない。  

 

 

2.QR決済編

 LINE Pay

QR決済+JCBプリペイドカード(バーチャル・リアルカード両対応)として使えるので守備範囲がかなり広い。

一応非接触決済も可能だがほぼ使う機会はない。

個人間送金が可能なのが特徴。銀行振込みなどでの現金化が可能なので、例えば飲み会の幹事をする時に役に立つ。

グループLINEの連絡ついでに集金可能なのでめちゃくちゃ便利。LINEやってない人はかなり少ないので導入も容易。

ただしKyashと違いクレジットカードからのチャージができない。ここは出金可能であることとトレードオフなのでKyashとの使い分けを勧める。

QUICPayと紐付けることで、タッチ決済にも転用可能。

 

 

PayPay

使える店が非常に多い。100億円キャンペーンなど、莫大な費用を投じたバラマキ型広告戦略は有名。加えて、地道な営業活動の結果、小さな個人営業の居酒屋なんかでも採用されることが増えるようになった。なんとダイソーでも使える。「現金オンリーだったけど今はPayPayだけは使える」という店は今や少なくないが、これは今までクレジットカードも実現できなかった偉業だと思う。

QR決済なので優先度こそ高くないものの、痒い所に手を伸ばしてくれる心強い存在であり、「行こうとしてる店が現金しか使えないかもしれない」という不安をグッと減らしてくれる。 

ただ、PayPay残高とクレジットカード(ヤフーカードを除く)決済を併用できないのが大きなネック。「残高があるのに使えない」という状況はストレス。ヤフーカードのみ対応しているというのは囲い込み狙いだろうが、こうした制限を加えるのはキャッシュレス化の本義に反しているので支持したくない。「PayPay残高と現金の併用」に対応する涙ぐましい努力をしている店舗も見られるくらいだが、本来ここは決済手段側で対処すべき箇所では…?と思う。

とは言え、銀行口座を紐付けてPayPay残高にチャージすることは可能なのでまだマシか。

 

 

楽天Pay

楽天ユーザーなら必須級。期間限定ポイントの消化におすすめ。松屋でよく使ってます。

当然通常のポイントも使えるが、こちらは楽天カードのポイント払いに使っても良い。

楽天カードのみならず、Kyashとの相性も良い。

 

 

 

3.その他

Kyash

「出金(現金化)が不可能な代わりにクレカでチャージができて、個人間送金も可能なVISAプリペイドカード」というのがKyash。

 還元率は0.5%~1%(2019年12月現在)。

その辺のクレジットカードと組み合わせて、「クレジットカードでチャージ→Kyashで支払い」という方法を取ることでポイントの二重取りができてしまう。

更にPayPayなどに「クレジットカード紐付けのKyash」を登録することで三重取り以上も狙えたりする。

ただ、この方法は間に決済手段を介在させることで決済通信に時間がかかるため、結果として不便になってしまう。「不便にするほど得」という構造はキャッシュレスの本義に真っ向から反しているし、長続きしないだろう。

 KyashはVISAが使用可能なところではほぼ全てで使える。ネットでの決済はほぼこれで対応できる。リアルカードを発行すれば実店舗でクレジットカード・デビットカードの代わりに使用することも可能。ただし3Dセキュアに対応していないので、それが求められる場面では使えない。この場合にクレジットカードで決済するのが良いだろう。

支払い方法としては「Kyash残高」で支払いを行い、残高が不足の場合は紐付けたクレジットカードから自動でチャージを行って不足額を充当する。いちいちチャージ不要というのは使い勝手が良い

Kyashはプリペイドカードということもあり履歴への反映が即時なので、使った額がリアルタイムで集計できるし、家計簿アプリとの相性も非常に良い

Google Pay/Apple PayでQUICPayと紐付けることで、非接触決済としても使用可能(ただし還元は対象外)。

デメリットとして、一日・一ヶ月の使用額に制限がある。上限は最大で一日5万円・一ヶ月12万円。これを上回る高額の決済には使えないので日常の小口決済に使用するのがおすすめ。

また、還元率も当初は一律2%だったのが「条件付きで最大1%」と改悪されてしまった。これに加えて、Kyashチャージはポイント還元対象外となるクレジットカードも増え、Kyash側も還元対象外のケースも増えてきて「二重取り」が難しくなり、旨味が少なくなってきているのが現状。QUICPay利用時も還元対象外となった。

サブスク課金などの定期的な支払いにも対応していない仕様とのこと。(が、何故か決済できるところもある)

 

 そしてサポートの対応が非常に弱い。筆者も利用制限を受けたことがある。上限を大きく超えた高額決済に使用し、制限に引っかかり決済は無効となったものの利用制限となった。制限は無事解除されたが、制限されたという通知も来ないので、制限後に使って初めて制限されていたことに気づく。

そしてサポートは対応も非常に遅く、利用再開まで2週間くらいかかってしまい、決済サービスとしてはかなり不安が残った。無料のクレジットカードでもカスタマーセンターに繋がらないという「安かろう悪かろう」的なサポートへの不満はあるが、Kyashのそれは「無料だから」では済まされないレベルの水準だと思う。何よりKyashは2019年12月現在で電話での問い合わせに対応しておらず、問い合わせフォームから連絡し、いつ来るか分からない連絡を待つしかない。不正利用や盗難時の補償もない。高い還元率にはこうした理由があるので、安易に還元率に釣られずにこうしたリスクは把握しておく必要がある。

使いやすい優れたUIもあって、筆者もかつてはKyashをかなり支持していたが、現在はほぼ全く使わなくなってしまった。 

 

pring(プリン)

これは一応QR決済として使えるのだが、QR決済として以外の部分が非常に魅力なので、あえて「その他」としてカテゴライズした。

pringは銀行口座から電子マネーをチャージして、個人間送金することができる。残高はセブン銀行ATMでパッと現金が無料で引き出せる(1日の回数制限はある)。

うまく使えばpringユーザー同士で匿名、かつ手数料無料で現金を送り合うことができるSNSで知り合った人などとお金のやり取りをするなら必須級。

入金~送金~出金まで無料で完結できるので少額の送金と相性が良い。

ただしプリペイドカードではないので、KyashやLINE Payと異なりクレジットカードに準じた使い方は出来ない。代わりに現金化ができ、手数料も無料にできるので、個人間送金ではKyashやLINE Payよりも便利。

 

現金

ほぼ全ての店で使えるという最強の能力の持ち主。なんだかんだ持ち歩いておくべきだと思う。備えあれば憂いなしの精神。ラーメン屋なんかは食券機が現金のみというケースも依然として多い。

筆者の場合は千円札を10枚くらい自宅にストックしておき、カードケース付きコインケースに1~2枚忍ばせておいて、現金を使った日はお釣りで出た小銭をまとめて一箇所に溜めておき、ストックしたお札を補充する、という方法を取っている。「ほぼ手ぶら」スタイルはとても楽。

カバンを持つ日にはカバンに札入れを入れており、クレジットカードや保険証と、高額の現金決済に備えて1万円札を2枚常備している。 

なお、溜まった小銭を定期的に銀行ATMにぶち込むことでとてもスッキリします。家計簿アプリの残高と1円もズレが出なかった時はめちゃくちゃ嬉しくなりますね。気持ち悪い?それ、褒め言葉ね。

 

 

 

こんな感じ。ここに書いてない決済手段も沢山あるが、それは筆者が使わなかったし使うメリットも感じられなかったものと考えて欲しい。

繰り返しになるが「結局どういう使い方が楽で得なんだよ!」という方はこちらの記事を参考にしてください。   

ytk64.hatenablog.jp

 

 

 

間違いなく大晦日に投下する記事ではない。